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フレイル予防のための身体活動のカギ「運動の種類とフレイル予防に役立つ運動とは」

2024.03.11

前回の身体活動についてご紹介した回では、「小さな身体活動でも 毎日続けることが大切」

と お話しさせていただきました。とはいえ 具体的に何から始めればよいのか 迷う方もおられると思います。 新たに始めるのであれば、無理なく取り組めて身体への負担が少ないものを選び まずは習慣化することを目指すと良いでしょう。目的をもって運動に取り組みたい方は 運動の種類によって どんな効果が得られるかも気になるところですね。運動の種類(4つの基本運動)にはどんなものがあるかを ご紹介します

有酸素運動

有酸素運動は、酸素をとり入れながら 全身を使った負荷が小さめの動きを ある程度の時間続けて行う運動のことです。エネルギー消費量は大きいですが、血圧は上がりにくく、けがのリスクも低いので、比較的安全に取り組むことができます。運動強度は「楽に行える・息がはずむ・ややきついと感じる」程度です。身体を動かすための基本的な体力や持久力を身につけることができ、継続して行うことで心肺機能を鍛えることもできます。

<例>早歩きでのウォーキング、ラジオ体操、ジョギング、自転車、エアロビクス、水泳、テニス など

ストレッチング

ストレッチは、筋肉を伸ばしたり縮めたりする動きで 柔軟性を高め、関節可動域を広げる運動です。運動前に行うことで怪我の予防になり パフォーマンスの向上も期待できます。また、運動後に行うことで筋肉の疲労回復につながります。また、深く長い呼吸をしながらストレッチすることで 血流が促進され リラックス効果も得られます。ストレッチを安全に行い より高い効果を得るためには いくつかのポイントがあります。

「息をとめない」

「反動をつけずにゆっくり筋肉を伸ばす(10~30秒)」

「ストレッチをしている筋肉に意識を集中する」

「痛いほど伸ばさない(気持ち良く、伸びを感じられる程度にする」

といった点を意識しましょう。

筋肉トレーニング

筋肉トレーニングは、文字通り 筋肉に負荷をかけて鍛える運動です。筋トレをすることで 立つ・歩くなどの日常的な動作も楽になり、転倒のリスクなども低下します。筋肉量が増えることでエネルギー量も増え、基礎代謝もアップします。また 筋トレによって骨に刺激を与えることで、骨密度が増加するとされています。

筋トレの効果は、「ちょっときつい」ぐらいの運動強度が適しています。ただし体力が衰えている方や高齢者の方は、負荷をかけすぎると怪我などのリスクが高まるので 注意しましょう。特に 力を入れる際に息を止めやすく血圧が上がりやすいため、息をこらえないようにしましょう。そのほか、より効果を得るために

「よい姿勢で行う」

「呼吸を止めずに、力を入れるときは息を吐くようにする」

「鍛える部分を意識する」

「ゆっくり動かす」

などの点に注意しましょう。高齢者は重り(負荷)を使わずに、自重(自分の体重)を使った筋肉トレーニングがおすすめです。なお 筋力トレーニングは、有酸素運動とあわせて実践すると より効果的とされています。

バランストレーニング

バランストレーニングは、バランス能力を向上させる運動です。主に体幹や下半身の筋肉を鍛えます。バランストレーニングを行うことで 日常的な 立つ・歩くなどの状態で姿勢を保てるようになり、不安定な姿勢から回復させる能力も向上します。

<例>片足立ち、つま先上げ、かかと上げ、腰まわし、クロスステップ など

なお バランストレーニングは、筋力トレーニングとあわせて実践すると より効果的とされています。

フレイル予防に役立つと考えられる運動は?

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)では、下記のように推奨されています。

個人差もあるので、強度や量を調節し、可能なことから取り組むことがよいと考えられています。

高齢者の方は ウオーキングならば1日6000歩以上、またはそれと同じくらい強度の身体活動を1日40分以上行うことが勧められています。運動に取り組む場合は、筋力トレーニング・バランストレーニング・ストレッチングなど、多要素な運動を組み合わせて 週3日以上行うことがおすすめです。中でも週に2~3日は筋力トレーニングを行うと健康効果が期待できます。それが難しいのであれば、今より少しでも多く身体活動を行うよう心がけましょう。

※身体機能が低下している方は、安全に配慮し、転倒等に注意して取り組んでください。

運動すると どんな効果が期待できる?

身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて、心血管疾患死などの死亡リスクは 約30%程度低下するとされています。また、有酸素運動は認知機能低下を予防する可能性があることが確認されています。多要素な運動によって、転倒や骨折のリスクが減少し、身体機能が維持・向上することも 認められています。ウォーキングのような有酸素運動が良いと言われてきましたが、多様で複雑な動きを伴う運動も健康に役立ちます。

このように 運動にはさまざまなメリットがあります。運動が困難な方も、少しでも身体活動をした方が 毎日の生活が快適になり 気分も明るくなります。そんなすこやかな日々のために まずは今よりも10分多く体を動かしてみましょう。

次回はフレイル予防のための身体活動のカギ「身体活動を増やすためのポイントと簡単な運動の紹介」です。

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